Havasu Falls(ハヴァス滝)
1年前に彼とセドナで出会い、旅を共にしはじめてグランドキャニオンに向かう途中、初めてこのHavasupai Indian Reservationという場所を知った。彼は運転しながら、ターコイズブルーの美しい滝のこと、その周辺にあるホピ族がこの世に出現したと言われる聖地Sipapuniについて熱心に語っていた。(ホピの未婚女性のヘアスタイルはとてもオリジナルでスターウォーズのレイア姫や、ヤマトタケルミコトのヘアアレンジを思い出させます)

彼はいつか行きたいと話していたが、その1年後、本当に来ることになるとは思いもよらなかった。
私たちが今向かっている通称ハヴァスと呼ばれるエリアには、他の土地から追われて移住したハヴァスパイ(Havasupai:Havasuは青緑の水、paiは人々という意味)と呼ばれるネイティブアメリカン達が300年以上に渡って住み、青緑の滝を守っている。

この渓谷はグランドキャニオンの一部であり、最も有名な観光地であるサウスリムからHualapai Hilltop(ハイクの入り口がある駐車場)まではドライブで約4時間かかる。そして、駐車場からハヴァス渓谷のスーパイ・インディアン村までは約10マイル(16キロ)の道のりをハイクする or ロバに乗る or ヘリコプターの3つの手段がある。

私たちはハイクでスーパイ・インディアン村を目指す。ただ、最初の8マイルは水が全くない区間なので約1ガロンの水ボトルを用意して、不必要な物は車に置いて出来る限りバックパックを軽くすること。歩いて約5〜6時間かかるので、夜明け前に出発しないと暑くて死にます。真夏日は46度に達することもあり、そんな日はハイキングロードもクローズしちゃいます。時々、脱水症状でヘリで搬送される人もいるとか。
「Raraは荷物が重いと文句を言い出すだろうから、一眼レフは置いていくこと」と言われ、泣く泣くiPhoneで撮影することに・・・。頑張って持って行けば良かったとも思ったけど、帰りは地獄のハイクだったので、カメラを持ってたら捨てていたかもしれない。
私たちはパーキングでカーキャンプした後、まだ外が薄暗い朝4時には3000フィート下の谷底へ降り始めた。暑くさえなければ楽しいロングハイク、渓谷の中は自然のミュージアムのよう。ハヴァスから帰って来る人たちは親切にも「あと半分だよ〜」などと声をかけくれる。
村に近づくにつれ、少しずつ緑の木々や小川が出てくる。朝日が上がり始めて少し疲れ始めた頃、オアシスが出てきたー!!
靴を脱いで足を浸してリフレッシュ。でも目的地はまだ先です・・・
スーパイ村に入るとファームが見えてくる。向こうに見える2つの岩のタワーはThe Watchersと呼ばれている。見られてますよ!

この先にレジストレーションがあり、予め予約しておいた名前を言って入場料($40)とキャンプの場所代($148/2night)を払い(2015年の価格)、リストバンドを着ける。ここからさらに45分歩いた先にキャンプ場がある。
私たちは最初の何でもない滝での撮影に時間をかけ過ぎて、すっかり登った太陽がジリジリと体を疲れさせる。
途中でローカルの少年少女に出会った。彼らはここで生まれ育った生粋のスパイっ子(!)。一時は進学のため違う州にあるネイティブアメリカンの子達が通う学校に通っていたそうだが、卒業してから村の生活が恋しくなり戻ってきて、今はここでの生活に満足していると笑顔で話してくれました。
こんな癒しの聖地に、家族みんなで仲良く暮らせたらそれが一番だね。
このバスクリンのような小川が、目的地はもうすぐであることを教えてくれている。
日差しはさらに厳しくなり、意識が朦朧としながら歩いていると、道がどんどん海岸の砂浜のようにサンディーで、急な下り坂になってきた・・・
その先の眼下に見下ろすは・・・
きたよーーーっ!!これぞオアシス!ここから今すぐダイブしたい!

美しいターコイズブルーのハバスフォールズ。
石灰岩が溶けたミネラル豊富な水で、何千いや何億年もの時を経て作られたその滝と周囲の岩山は、まるで荘厳な大聖堂の佇まい。渓谷の厳しい環境に癒しを与える、まさに桃源郷を見た気分・・・。
一気に疲れが吹き飛び、私たちはとりあえずキャンプ場へテントを張りに向かった。これまたキャンプ場が素敵で、いわゆる人気のナショナルパークにありがちな不自然な感じではなく、自然に溶け込んでいて、オープンな水辺やプライベート感のある草むらなどいろんな場所が選べます。昼も夜も、暑くも寒くもなくちょうどいい気温で、ハンモックで寝てる人もいっぱいいた。極楽浄土とはここのこと?
早速、テントで水着に着替えて滝へGo!! 地面あっつい!
滝の裏まで行ってみようと泳いでみたけど、落差30mのすごい水圧で滝の下までは泳げません。みんな壁をつたって後ろ側へ廻って遊んでいました。
そんなこんなで、日が沈むまで滝と遊び、ロングハイクの疲れを癒しました。きっと昔のネイティブの人たちも、遠くからやってきてこの滝で生き返る思いと、インスピレーションを受けたことでしょう。
夜も騒いだり歌ったり踊ったりする人もおらず、静かに聖地のvibeを感じながら眠ることができました。何よりありがたかったのは、ここに2晩泊まっても、まったく蚊に悩まされなかったこと。これは本当にピースフル。
翌日は、さらに奥のムーニーフォールズへ。
キャンプ場から少し歩くと、降りていく道が出てきます。崖からはすでにムーニーフォールズ(落差60m)が見えていて、滝を横目に、鎖につかまりながら階段を降るというわりとチャレンジングな崖を降ります。
水は生温く、川を彷徨っていると妖精が出てきそうな風景に出会えます。誰も来ない隠れた名所もあり、メディテーションにも最適。
でもそんなにゆっくりはしてられない私たち。これからさらにその奥にある、ナバホフォールズとビーバーフォールズを目指します。
この滝へ行く時は水着や短パンでない方が、足がチクチクしなくていいです。私は水着のまま歩いたので、足に細かいキズや痒みがでました・・・

ナバホフォールズまではわりと穏やかで楽しいハイク。でもそこから先が山あり谷ありハシゴありの、わりと長く険しい道のりです。ムーニーフォールズからビーバーフォールズまでは約6マイル(9.5km)。


着いた〜!やっと着いたよ、ビーバーフォールズ!長く険しい道のりを乗り越えたかいがあるってものです。
水深は深くなく、歩いて滝の下まで行けるので、ぜひ滝修行を楽しんで!
水温も程よく冷んやりして、心身ともにディープなリラックス&クレンジング効果ありすぎです。
いっぱい遊んだら、またこのアップダウンの道のりを戻ります。道中は日陰が少ないので、水を十分に持って来るのを忘れないよーに。
せめて5泊くらいしてゆっくりしたかったのですが、私たちはまだ残り70ヶ所を巡らなければならず・・・。2泊目の朝、バリバリの筋肉痛の中、また12マイルを歩いて戻りました。
夜明け前に出発したのにも関わらず、途中でまた写真撮影タイムが過ぎ、すっかり日が昇ってしまいカンカン照りの地獄のハイクに・・・。最後の約2マイルは、ずっと急なジグザグの坂を歩くのですが、何度も休憩を取り、軽い脱水症状になりながらなんとか駐車場に辿り着きました。
この後、グランドキャニオンのNorth Rimにある、ケープ・ロイヤルの夕日を撮りに向かいます。
Havasupai Indian Reservation
※ハイキングもキャンプも必ず事前に予約が必要。
最低でもオーバーナイトハイクもしくは3泊が好ましいとされています。