ベニスにて、聖イグナチオを想ふ

さて、ベニス・・・。

まぁ嘘言っても仕方ないので本音を申し上げますと、駅から出た途端、ディズニーランド的な雰囲気でちょっと拍子抜けだった。(すんません!ベニス様)

夕方まではほっとんど写真を撮らず、持ってきても開くことのなかった本、イグナチオ・デ・ロヨラの「ある巡礼者の物語」をバールで読んでいた。1年前に読んだ時は、なんだかよく分らないなぁと思った本だったけど、今読むと、共感できる部分があって面白く感じた。

ベニスだからってベリーニ

私は全くもってキリスト教徒ではないが、敬虔な信者なろうとする段階において、大体同じことで疑悩、困惑し、対立する感情の狭間を行ったり来たりするのは、16世紀だろうが現代だろうが変わらないみたいだ。

イグナチオは、スペイン・バスク地方の貴族の子で虚栄心も強く、考えていることといえば名誉と女性のことばかりというごく普通の世俗の騎士だった。ところがある日、怪我をして療養中に家族が持ってきたジーザス関連の書物を読んで、少しずつキリストの精神に目覚めていく過程の日記。その流れはフランチェスコと似ているけど、性格はかなり違うよう。フランチェスコがナチュラル系聖人なら、イグナチオは自分と闘う自虐聖人という感じ。

内容は淡々としていて退屈だから推薦図書ではないのだけど、(修行好きの方にはハイリーリコメンドです)聖人やグルなどと呼ばれる人の書物は、聖者なってしまってからの教えを語る本が多い中で、聖者になる前の葛藤や経験がリアルに書かれているところが貴重。

ともかく、イグナチオはベニスにも訪問しているので、私ももう少し散歩してみることにした。

夕暮れ時になり、駅から遠いエリアや、奥の細道には観光客の姿が減った代わりに、ベニスに住む子供たちが追いかけっこしたり、おばちゃんたちが立ち話や買い物をする様子は映画のワンシーンようだった。こういうところヨーロッパはずるい。

夜にかけて、奥の細道に入り込んで歩くほど、いろんな景色が待っていて、ベニスの醍醐味が分ってきたような気もした。でも油断禁物!ベニスの道は迷路だから、暗くなって地図が見れなくなったらWelcome to Labyrinth!!だからお気をつけ下さい。(イタリア語が解れば大丈夫かも)

 

 

 

駅の周辺では夜中でも人がたむろしていて、すごく安全な雰囲気。(ディズニーランドだからね)

時刻表をチェックしてみると、午後11時過ぎた夜中でも、フィレンツェやローマ、ナポリなど各都市に出る電車があったので、ステイしなくても、ベニスの雰囲気をつかむくらいなら日帰りっていう手もあります。

私はホテルをとってしまったので、早朝に朝日を見ながらフィレンツェへ戻り、近郊の街シエナへ行って、翌日にニューヨークへ帰りました。短期間でもすごく充実したイタリア旅行だったのですが、帰ってきてからというもの恐ろしいくらいにセレンディピティな毎日です。

話は聖イグナチオに戻りますが、彼は巡礼中、苦行のため3度もニアデス体験したり、エクストリームで頑固な性格ゆえに投獄・迫害されていました。様々な苦難がありつつも、慰めを何度も受けては神を信じ続け、最終的にはインドのヨーガにも近い瞑想方法「霊操」を作り上げた。

神を追う情熱としつこさ。

これがなければ天国の門は開かれない。逆を言えば、それさえあれば開くのだ。いや、情熱の只中にある瞬間すらももしかしたら天国なのかもしれない。

私は彼のように、雪の日に靴底にわざわざ大きな穴を開けて歩くような修行はできないけど、人から変と思われようと、世間と合わなかったとしても、孤独を感じても、結果に左右されることなく、好きなことを自分らしく追及し続けよう。(もうやってるだって?!)