インディアンの聖山ベアロッジ / UFOファンの聖地デビルズタワー

ブラックヒルズの大平原地帯に住むネイティブ・アメリカンにとって、重要な儀式を執りおこなう聖なる山であるベアロッジ。そして現代では、映画「未知との遭遇」のUFO着陸シーンで一躍有名になり、UFOファンの聖地となったデビルズタワー。

これですな。

イエローストーン国立公園から東へドライブすること約6時間、何にもない草原に突如としてそびえ立つ神秘的な岩山が現れる。アリゾナのアガスラピークと同じ岩頸と呼ばれる地形で、ここは約2億年前のロッキー山脈が隆起した時のマグマ活動によってできた溶岩が冷えて固まり、長年の侵食によってできた岩山。

ちなみにデビルズタワーという名称は、ネイティブ・アメリカンの聖地ではよくあることなのですが、後から来た発見者によって1875年に付けられたものが正式名称になったもの。その後、1906年にアメリカ初のナショナル・モニュメントに指定されました。

デビルズタワー周辺とその東にあるブラックヒルズエリアでは、1万年前からシャイアン族、スー族、クロウ族、アラパホ族、ショショーニ族、カイオワ族をはじめとする20の部族が生活していて、この岩山を聖地として崇めていました。

それぞれの部族によって異なったネーミングと伝説があり、ある部族は”The Bad God’s Tower (悪い神様の塔)”と呼んでいて、それを翻訳者が間違えてデビルズタワーと訳し広まってしまったのだとか。うーん、それは如何なものか?もしかして、当時の白人から「野蛮」「悪いインディアン」として呼ばれてきた戦士の部族スー族への当て付けなのか?いろんな思いがよぎります・・・。

岩山の周囲をぐるっと歩くコースがあり、ロッククライマーが登っている姿も見られます。クライマー達は、夜明け前の暗い時から登っていました。

また、この辺の古い地図には、”Mato Tepee(Grizzly Bear Lodge:グリズリーベアのロッジ)”と記してあった。アラパホ、シャイアン、ラコタ、クロウ族の人たちからは、Bear’s TipiとかBear’s Houseなど主に「熊の家」と呼ばれている記録が残っている。

多くのインディアンたちにとって熊はとても重要な意味を持っていた。熊から強力なスピリットを授かることができると信じる熊信仰、部族によっては熊は毛皮を纏った智慧のある人間として捉えられたり、死と再生のシンボルとして畏れ崇められてきたわけです。

でもじゃあ何故、この岩山の名称が単なる誤訳だったデビルズタワーのままで、”ベアロッジ”にならなかったのか?

調べてみると、やはりデビルズタワーじゃ印象悪いからBear Lodge National Historic Landmark(ベアロッジ)に名称を変更しようという運動があり、2005年と2014年の2度に渡り合衆国にプレゼンをしたらしいのですが、却下されているそう・・・。

きっと、A案のベアロッジより、B案のデビルズタワーの方がキャッチーだし、国民的には受けがいいという理由か。もしくはすでに作られているパンフレットや看板を修正するほど予算がないから、B案のままで通すことになったのか。それとも弾圧の延長なのか・・・。

シャイアン族の伝説では、当時、白人が襲来する前にこの”Bear’s Tipi(現デビルズタワー)”を訪れ、グレートスピリットと繋がる儀式をしたというお話が残っています。

他にも、熊に襲われそうになっていた妻を救うため、夫と兄弟たちも一緒に逃げていた。兄弟の中でも1番若い弟は、不思議なパワーを持っており、小さな石を持って歌い始めた。歌が終わった時に彼が持っていた石が、なんと今のこの大きさまで巨大化(標高1558m, 麓からの比高386m)。彼らは岩の上に立つことができ、熊の攻撃から逃れた。その時、熊が引っ掻いた跡がこの縦縞として残っているというお話。

お土産屋さんに飾られていた絵

信じるか信じないかは、あなた次第です。笑

いろんな部族の中でも、ラコタ族は最もこの岩山との繋がりが強く、多くの伝説が残っている。

ラコタ族はよくBear Lodgeの麓でキャンプをしていた。当時、クロウ族の襲撃を受けていたラコタ族だが、巨大な熊の助力によってクロウ族の襲撃を退けたお話や、公園内にはこんな看板もありました。

このタワーは、国民の健康と部族の自決(独立し自分たちの国家を作ること)の活力源です。 この丘で祈る者はより強い者に成長する。 彼らがスピリッツから神聖な智慧を得ることにより、我々ラコタの文化と生活様式の保護に役立つ。そして彼らはリーダーになる。 彼らの知識とリーダーシップ無しでは、私たちは自分の運命を見極めることができません。by. シャイアン川スー族のRomanus Bear Stops氏」
※スー族はラコタ族やダコタ族の総称

少なくとも1万年前から人間が生活していたことを裏付ける証拠品

また、ラコタの英雄ホワイト・ブル曰く、この丘に4日間断食し、水も飲まず、セージの藪で眠り、祈り続けた者こそが名誉ある男性であると語った。そしてスー族の有名な5人のリーダーである、シッティング・ブルクレイジー・ホースレッド・クラウド、ガル、スポッテド・テイルはここで祈り、「私たちはこの丘を礼拝したのではなく、私たちの神を礼拝したのだ」と語った。

とにかくこのデビルズタワーいやベアロッジは、歴史を知らずとも神聖なムードが感じられる場所で、ネイティブ・アメリカンファンなら感慨もひとしお。

私たちは日が暮れるまで、夕日に照らされオレンジに光る聖山に釘付けだった。周囲には椅子持参で来ているUFOウォッチャーもいて、夜になってUFOが出てくるのを待つと言っていた。

彼が撮影に集中している間、私は途中のネイティブアメリカンのお店で買ったセージを炊き、セドナから持ってきた水晶でお祈りをした。

その晩はこの周辺で一泊し、とても落ち着いた澄んだエネルギーだったことを覚えている。そしてまた早朝にデビルズタワーに戻ってきた。

今日は違う角度から撮ってみようと、昨日とは違うパーキングへ来てみると、美しい煙のモニュメントが現れた。

この彫刻は、日本人アーティストの武藤順九氏による作品 Circle Wind 2008 The Circle of Sacred Smoke 。他にもインドのブッダガヤと、イタリアのバチカンにも同じ「風の輪」シリーズの作品が展示されているそうです。

ちなみにこの像から少し先に、プレーリードッグがいっぱい見られる場所があり、モグラ叩きゲームのようにいろんな穴からプレーリードッグが現れてなかなか楽しいです。

このモニュメントはラコタ族が、伝説の聖女White Buffalo Calf Woman(白バッファローの仔牛女)から、ラコタにとって最も神聖なアイテムであるWhite Buffalo Calf Pipe(白バッファローの仔牛パイプ)を、この地で譲り受けたことに由来しています。

それから時を経て1875年、アメリカ陸軍のカスター中佐は「インディアンと再び戦わないこと」をこのパイプで誓った。もしこのパイプの誓いを破ると、破滅もしくは家族全員死ぬか病気になると言われている。

がしかし、カスター将軍は、これまで通りインディアン達との平和協定を結んでは破る裏切り行為を繰り返し、翌年、あの有名なリトルビッグホーンの戦いで虐殺された。

パイプは、ビジョンクエストやスウェットロッジ、サンダンス(自然復活と和平祈願の儀式)などに使われる神聖なツール。聖女の説明によると、その神聖なパイプ(C’anupa)を吸った人は、直接ワカン・タンカ(Wakan Tankan:大いなる神秘、宇宙の真理)と繋がることができる。ただし、

必ず善良な心と誠実な考えを持って儀式に望まなければならない。聖なる場所、聖なる儀式に対して敬意を持つこと

と注意し、彼女は時計回りに歩き夕日の方角に帰って行った。丘の頂上に立つと聖女は振り返って、4つの聖なる色を示した。黒、赤、黄そして最後に彼女自身が美しい白色の若いバッファローに変身し、丘の向こうへ歩いて消えていった。そして聖女はWhite Buffalo Calf Woman(白バッファローの仔牛女)と名付けられ、その後もずっと語り継がれている。

 

私たちが行った時も、少し離れた場所にスウェットロッジをした跡を2つ発見しました。神聖な場所なので見つけても、触らずそのままにしておきまししょう。

まだまだ、インディアン聖地巡礼の旅は続きます・・・


Youtubeに美しいドローン映像があったのでお楽しみください。


Devils Tower National Monument

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